TDPとは
TDPは「Thermal Design Power」の略で、主にコンピュータのCPUや大規模な半導体チップの設計上想定される最大放熱量を指します。これは、チップが全力で稼働した際に発生する熱量をワット(W)単位で表したもので、冷却システムの設計において重要な指標となります。例えば、高性能なCPUは一般的にTDPが高く、それに応じてより強力な冷却装置や電源ユニットが必要になります。また、TDPは消費電力とは異なり、あくまで発熱量の指標であるため、実際の消費電力を示すものではありませんが、両者は密接に関連しています。TDPの理解は、特に自作PCを組み立てる際には、適切な冷却装置や電源ユニットを選定するための重要な基準となります。
TDPの現状
PassmarkでTDPの高い順に並び変えることができます。
PassMark – CPU Benchmarks – CPU Mega Page – Detailed List of Benchmarked CPUs
この記事作成中(2024年5月1日)の段階で、最も大きいTDPは400Wとなっています。サーバー用途のCPUとは言え、400Wはやばすぎる。これがいずれパソコンのスタンダードになっていくなら、とんでもないですね。
発熱する部品はCPUだけではなく、GPU現行のグラフィックボードで一番多いのが200Wから350WのTDP。ハイスペックと呼ばれるものでは500W近い製品もあります。
家電製品の消費電力リスト (eco-taisaku.net)
1000W近くなると、電源の確保も容易ではない。自作する難易度もすごく高くなります。良くないですね。
問題点
- ケースのエアフロー
小型ケースに収まらない。空冷では冷やしきれないため水冷必須になります。 - 指数関数的な価格上昇
価格上昇を起こすのはCPUだけではないです。CPUを最大性能で稼働させるためには、マザーボード・電源・ケース・冷却システムにも金を積む必要があります。 - 電力確保が困難に
発熱が大きいということは、消費している電力量も大きいということ。
パーツとしての電源確保をどうするかも問題だが、日常にPCを使う場合にも問題が出てきます。
電子レンジを使っている間使えないパソコンとか頭おかしい。
最近の傾向
自作PC界隈でも、パーツの二極化が進んでいます。
- スーパーコンピューターを自室に整備するための超高性能CPU
個人用途での生成AI利用やニューラルネットワークの学習・実行など、現在のソフトウェア開発最前線は、かなりの性能を必要とします。また、それらのソフトウェア開発ツールのほとんどがオープンソースにされているため、性能の高いコンピューターを確保する必要性がさらに高まっています。 - 処理はすべてサーバーに任せ、常時稼働しても問題ない低電力CPU
Microsoft AzureやGoogle Cloud Platformのようなクラウドプラットフォームが増えてきている昨今、コンピューターのリソース確保を手元に行う必要性が下がっています。そのため、手元のコンピューターには最低限の性能を確保して、開発はサーバー上で行うというパターンも増えています。
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