NAS(ネットワークアタッチトストレージ)とNextcloudは、共にファイルの保存や共有を行うためのソリューションですが、どちらが優れているでしょうか?どちらもクラウドストレージのように利用することができますが、様々な点で違いがあります。この記事を通して、NASとNextcloudの特徴やメリット・デメリットを比較しつつ、Nextcloudの有用性を述べることで、自作クラウドの沼に叩き落とそうという魂胆です。
NASとは
NASとは、ネットワークに接続された専用のストレージ装置のことです。NASには、ハードディスクやSSDなどの記憶媒体が内蔵されており、パソコンやスマートフォンなどの端末からアクセスすることができます。
NASのメリット
NASには、以下のようなメリットがあります。
- 大容量のファイルを保存できる
持ち運びの必要無い外付けハードディスクを使えるようになると考えると便利に思えませんか? - バックアップや復元が容易
NASはデータ保存に特化しているソフトを標準搭載しているので、データの安全性に関しては言うまでもありません。 - ファイルの共有や同期が可能
家の中のパソコンで使っているデータをすべて、NASに保存するようにしてしまえば、どのパソコンからでも同じ作業を再開することができます。 - メディアサーバーやプリントサーバーなどの機能を持つものもある
NASを販売しているメーカーによっては、サーバーとしての機能を追加できる製品もあります。
NASのデメリット
一方、NASには以下のようなデメリットもあります。
- 初期費用が高い
NASは完成品を購入する場合、2万円以上が必要です。ネット記事やYoutubeを見ていると、余っているパソコンやシングルボードコンピュータを使ったNASの制作を見かけます。その方法だと初期費用が抑えられる代わりに、手間がかかります。そして、同じ手間をかけるならNextcloudを導入するほうが良いものが得られます。 - セキュリティや保守管理に注意が必要
これはNASに固有の問題ではなく、ネットワークに接続して運用している端末全てにいえることです。しかし、NASはデータの集積場なので、普通のパソコンと比較すると、攻撃された場合の被害は大きいです。 - ネットワークに依存するため、外出先からのアクセスが不便
NASはLAN内(家庭内)でのデータ共有を簡単にすることができますが、インターネットへ接続する場合が不便です。また、専用アプリや特定の端末でしかインターネット共有ができない製品もあります。
Nextcloudとは
Nextcloudとは、オープンソースのクラウドストレージサービスです。Nextcloudでは、自分でサーバーを用意してインストールすることで、ファイルの保存や共有を行うことができます。
Nextcloudのメリット
Nextcloudには、以下のようなメリットがあります。
- 自分でサーバーを選べるため、プライバシーやセキュリティが高い
- 機能や容量を自由にカスタマイズできる
ケチな容量制限はありません。必要なら10TB以上のクラウドストレージだって作れます。 - オフィスやカレンダーなどのアプリケーションと連携できる
機能の追加を行えば、Word形式の文章をブラウザ上で編集できるようになります。
また、Googleカレンダーのデータを読み込んでNextcloudでタスク管理を行うこともできます。 - インターネットに接続できれば、どこからでもアクセスできる
クラウドとして運用することを前提に開発されているため、どの端末のブラウザでもアクセスすることができます。
Nextcloudのデメリット
一方、Nextcloudには以下のようなデメリットもあります。
- サーバーの設定や管理に技術的な知識が必要
自分でサーバーを選択できるということの裏返しです。最近では、簡単インストールに対応しているレンタルサーバー会社もチラホラ出てきました。 - サーバーのコストや性能に制限される
これも、自分でサーバーを選択できるというメリットの裏返しです。 - サポートや保証がない場合が多い
企業版のライセンスを取得すればサポートを受けることはできます。しかし、サーバーの管理は自分でやる必要があります。
Nextcloudは、自分でサーバーを設定し、機能を自由にカスタマイズすることができます。
オープンソースのフリーソフトは、”無料の”ソフトではなく”自由な”ソフトであるということです。
なぜ、NASよりNextcloudを推すのか
NASはパソコンにならないから
NASは、外付けハードディスクのように使ったり、サーバーのように使ったりすることを想定しています。つまり、NASは基本的にディスプレイ出力を搭載していません。
パソコンの場合、新しいパソコンを購入したとしても、サブ機やテスト機として今後も使用する機会があります。しかし、NASを新しい製品に買い替えた場合、古い製品は廃棄するしかありません。
NASがどういうものかを知らず、一度もNASを使ったことがない人には、もしかしたらNASを買うことをおすすめするかもしれませんが、パソコン上級者に入ろうとしている人には絶対におすすめしません。
WordPressを構築するときと共通の手順が多いから
WordPressのようなデータベースを使用するタイプのCMS(コンテンツ管理システム)のインストール手順とNextcloudのインストール手順では、共通する箇所が非常に多いです。いずれ自身のサーバーをカスタマイズしてWebサイト用のサーバーを構築したいと考えているなら、Nextcloudをホストできるようになっておくことがお勧めできます。
まとめ
NASとNextcloudは、それぞれにメリットとデメリットがあります。どちらを選ぶかは、自分のニーズや予算に合わせて判断する必要があります。
NASは、すぐに導入可能な安定性や機能性を重視する場合に向いています。
Nextcloudは、多少の手間と引き換えに柔軟性を重視する場合に向いています。
両方とも一長一短ありますが、私的にはNextcloudを推していきたいです。
コメント